ももさんがあっちへ逝ってしまった。

チームねこのひとり・ひえぽんさんが
「どうしても気になる猫がいる。うちで引き取ろうと思う」
ト言い出したのは去年の秋だった。
ひえぽんさんが気になって仕方なかった猫は、
一人暮らしだったおばあちゃんと仲良く暮らしていたのに、
おばあちゃんが亡くなって行き場が亡くなってしまったコだった。
それも、ただ亡くなってしまっただけじゃなくおばあちゃんは孤独死だった。
まるでゴミ屋敷のようだったおうちの中でひと月ほどの間、
たったひとりでおびえて隠れていたコだった。
猫がいるはずなのに見つからず、やっと見つかったときには
精神的肉体的ストレスのせいで顔面が半分麻痺、
眠るときにも左眼のまぶたが下がらないようになってしまっていた。

そんないきさつでひえぽん家にやってきた年齢不詳のねこさんは
まつこ、たけこ、うめこ、トいうひえぽん家3姉妹にならって
『ももこ』ト名付けられた。
どうやらももさんは、おばあちゃんにべたべたに甘やかされていたらしい、
トひえぽんさんが言いだしたのは、ももさんが来てすぐのことだった。
ヒトの食べ物を欲しがる。
すぐヒザの上で丸くなる。
大人猫ばかり3ぴきもいるおうちに来てすぐなのに、
堂々とオカーサンのヒザに乗るなんてそんじょそこらの猫にできることじゃない。

「ここ、あたしのばしょー」
うんうん、そうだねももさん。
おばあちゃんのひざも好きだっただろうけど、今はこのひざがいちばんなんだね。
おばあちゃんのひざよりもあったかくてふわふわクッションきいてるしね。

先にだれがいてもどんどんひざに乗っちゃうももさん。
ももさんの中ではいちばん安心できる場所が
ひえぽんさんのひざになってるんだな。
ひえぽん家が我が家になったももさんの顔は、保護されたときとはもう別猫。
まん丸のおメメでどんどんかわゆくなってくるももさん。
ひえぽん家がどんなに居心地がいい場所なのかすごく伝わって来る。

ひえぽんさんがとてもフラットなヒトなので、
ひえぽん家の4姉妹もお互い干渉せず、それでいてなんとなく気遣いあう
すごくいい関係だった。
わかりにくいけど、右側の茶トラがいちばん先住さんのうめち。
次に来たのが左側のカゴに入ってるサビ猫のたけち。
次が道の駅に捨てられてたまつこ、いちばーん奥に写ってる。
そして真ん中にももさん。
姫のうめち、マイペースなまつこ、天真爛漫でムードメーカーでやさしいたけち。
そんな3姉妹と、
なにがあっても最後まで面倒見ちゃる!トいう頼れるひえぽんさんに支えられて
きっと、いや、絶対ももさんは幸せだったはず。

たけちと追っかけっこしたり、
うめちがいてもその上からひえぽんさんのヒザに乗っちゃったり、
ひえぽん家に来てまだ1年たってなかったなんて信じられないくらい
馴染んでたももさん。
大好きだったおばあちゃんが急に動かなくなって
どんなに呼んでも起きてくれなくなって、
それが『死』なんだってこと、猫にわかるはずがない。
どんなに不安だっただろう。
でもそのあとに見つけた最高に居心地のいいおうち。

ひえぽん家に遊びに行ったえみさんに挨拶するももさん。
なんだこの顔!けしからんくらいかわゆいじゃないか。
なんだかいろんなことがわかってたんじゃないかな、ももさんは。
先週の半ばに食欲がなくなった……と思ったらガクガクッと急激に落ち、
もしかしてそろそろ……ト覚悟を決めたひえぽんさんが休みをとった金曜日は
いちにち家族全員揃ってマイペースで過ごし、翌土曜日早朝。
ひえぽんさんが仕事に出かける直前に「にゃー」ト挨拶して
あっという間に逝ってしまったももさん。
もうすぐ出かけなきゃイケナイ!泣いてるヒマはない!
まさかのタイミング。
ひえぽんさんが悲しむのわかってて、ばっちり計算してたとしか思えない。

ももさん。
かわいいももさん。
ひえぽんさんちに来てくれてどうもありがとう。
ワタシたちみんなももさんのことが大好きだよ。
いつまでも忘れない。

アタシももっともっとちゃんと向き合っていかなきゃ。
後悔しないように。
これでもか!ってくらい毎日
「タナちゃんだいすきだ!」を伝えなくっちゃ。

うんうん…。
わっちゃんもだいすきだよ。
こんなわっちゃん、すきにならずにいられないよ…。
猫ってほんとすごいな。
みんなそれぞれで、みんなかわいいんだもんな。